なかなか触られない個人開発プロダクト どうやって集客するか

  • 2026年4月15日18:14

環境を変える

本章では、製品がユーザーの環境を構築して行動を促す5つの方法を紹介する。

  1. 行動を促すきっかけ(Cue)を与える(Cue the user to act)
    • お願いする
    • トリガーを設置する
  2. モチベーションを高める(Increase motivation)
    • 新しいモチベーション vs 既存のモチベーション
      • 製品は、ユーザーに新しいモチベーションを与えることもできるし、既にあるモチベーションを引き出すこともできる。理想的には、まず既存のモチベーションを活用するのが良い。
    • 報酬 vs 罰
      • 製品は行動を促すために報酬を与えることも、行動しなかったことに対して罰を与えることもできる。ただし、ユーザーを罰する設計は避けるべき。
  3. フィードバックループを生み出す(Generate a feedback loop)
    ユーザーの行動や成果に対して即時に反応を返し、行動を続けやすくする。たとえば、達成感が得られるスコア表示や進捗グラフなど。
  4. 競合を取り除く(Remove competition)
    ユーザーの注意や時間を奪う他の選択肢や誘惑を減らす。たとえば、余計な通知を抑えたり、複雑な手続きを簡略化したりする。
  5. 障害を取り除く(Remove obstacles)
    行動を妨げる物理的・心理的な障壁をなくす。たとえば、登録の手間を減らしたり、操作を簡単にしたり、必要な道具をすぐ手に入れられるようにしたりする。

行動を促すきっかけを与える

多くの行動では、動機はすでに存在しているものの、背景に埋もれていることがよくあります。

  • 伸び放題の芝を見て芝刈りをしようと思う。
  • ステーキのテレビCMを見てお腹が空く。

今ではなく後でやろうと思ってしまうその行動を、「今」やろうと思い起こさせるきっかけ
このうまく配置されたきっかけ(Cues)は、行動変容に不可欠です。
これは無意識の習慣(環境のきっかけが習慣的な行動を始める場合)にも、意識的な行動決定にも当てはまります。

お願いする

ただお願いするだけです。
丁寧に、かつ頻繁すぎなければ、お願いしない場合より行動が減ることはほとんどありません。

ソフトウェア製品内で行動をお願いすることには、3つの効果があります。

効果 説明
1. きっかけ(注意喚起) 人は忙しく、注意力は非常に限られている。Dean Karlanらの研究では、単に注意を向けさせることが行動促進の重要要因であると示されている。特に、すでに行動への動機がある人に有効。
2. 義務感 合理的な依頼に「NO」と言うのは心理的に不快。製品や企業が親しみやすく擬人化された存在に見える場合、この義務感が行動を後押しする。
3. 即時性/緊急性 貯金・運動・禁煙など、多くの「良い」行動はいつでもできるため先延ばしされがち。「今やる理由」を提示することで「後でやる」の壁を越えられる。

📌 お願いの具体例

  • メール
  • テキストメッセージ
  • 「今すぐ行動」ボタン(サイト上)

これらはシンプルかつ効果的な行動トリガーです。
複雑な心理アプローチを試す前に、まずはこれらの基本を試すべきです。

トリガーを設置する

行動を促す別の方法は、ユーザーが既に接している環境要素を「きっかけ」に再解釈させることです。

  • 例:お気に入りのラジオ番組の朝の放送
    • 「番組が終わったらランニングする」
    • 「木曜に地下鉄を出たら、ランニングシューズを買いに行く」

こうした シンプルな連想(mnemonics) は、何千年も前から使われてきました。
製品は、「目にするもの」と「やりたいこと」を結びつける」 ことで、これをサポートできます。

実行意図(Implementation Intentions)

近年の研究(Gollwitzer, 1999)では、「特定の状況になったら特定の行動を取る」 という具体的な計画が、将来の行動を促す効果を持つことが実証されています。

これは「Yが起きたらXをする」と心に指示を与える方法で、

  • 未来に負担を残すのではなく、今の時点で計画を設定する
  • 実行は環境からのきっかけで自動化される

💡 事例:Twords(オンラインライティング習慣化サービス)

  • サインアップ時に「どのタイミングで書くか」を明確に設定

    • これが未来の行動のきっかけを作る

チベーションを高める(Increase motivation)

内発的動機づけ / 外発的動機づけ

まずは、ユーザーのモチベーション高める線で方略を考えよう。
モチベーションについては大きく分けて次の2種類に分けられる。

  • 内発的動機:行動自体の楽しさや興味からくる動機(例:運動すること自体が楽しい)
  • 外発的動機:結果や報酬を得るための動機(例:目標達成や賞賛を得るため)

内発的動機を発見し、プロダクトがうまく活用できればそれに越したことはない。
新たにプロダクトが動機を提供するということはそれは外発的動機づけに分類されるが、外発的動機づけには次のようなデメリットがある。

  • 内発的動機は製品に依存せずに持続するが、外発的動機は製品が関わっている時だけ効果的。
  • さらに、外発的動機が強すぎると内発的動機が「駆逐される(crowding out)」こともある。つまり、純粋に楽しんでいた行動が報酬目当てになり、楽しさが減ることがある。

したがってて、発的動機を発見し、プロダクトがうまく活用できればそれに越したことはない。

  • 2026年4月15日18:14

Note:アンダーマイニング効果

子どもの頃、「お母さんを手伝いたい」という想いから自発的に行ってきた皿洗いをしていましたが、
ある時、お母さんに「皿洗いをしたらお小遣いをあげる」と言われ、お小遣いをもらうようになって以来、皿洗いの目的がお小遣いをもらうことにすり替わっていき、お小遣いをもらわなければ皿洗いはしたくないという気になっていったとのことでした。

当初は「お母さんを手伝いたい」という想いからやっていた皿洗いが、いつの間にか「ただ働きはしたくない」となってしまうのです。お金にはこういった力があるので、その点は注意が必要です。

https://keiei-shinri.or.jp/wo…

しかし、外発的動機の全てが悪いわけではない。
アンダーマイニング効果を無視してでも、一時的に強いモチベーションを上げさせたり、外発的動機から内発的動機への移行をサポートする場合には問題ない。

ユーザーを罰しても良いか?

人を動機づけるには報酬のどちらが効果的かについては、大きな議論がありますが、基本はユーザーを罰することは避けるべきです。

しかし、罰することが全て悪いわけではありません。
有効な脅威の一つにコミットメントの一貫性があります。
これは、あらかじめ特定の行動を取ることを約束し、それを守れなかった場合に、自分が大切にしている何かを失うという仕組みです。

💡 事例:Stickk.com のコミットメント契約

項目 内容
方法 コミットメント契約を使って、創造的かつ個人的な罰を設定
ダイエットに失敗すると、自動的に嫌いなNGOにお金を寄付する
特徴 罰は自己設定かつ自己調整される
ポイント 外部から押し付けられた罰よりも、自分で決めた罰の方が受け入れやすい

ダイエットに失敗した時に自動的に嫌いな団体への募金が走ってしまうと言うのは、ある種皮肉がきていて面白いですよね。

ポイント

一貫性の法則とは、「好きな歌手のCDだから中身を見ずに買ってしまう」という
自分のことを一貫して見せたい心理のこと。

以下の条件で強化を受ける

  • 誰かに見られている
  • 好きな相手

競合について

これまで、行動促すきっかけを考えたり、トリガーを設置したり
罰を適切に使う方法など、さまざまな効果を検証してきた。

しかし、競合に打ち勝つのは並大抵のことではない
ここでの競合とは、この世の全ての取り得る行動である。

  • SNSを見たいという誘惑
  • メールボックス内の他のメール

この場合、「競合を利用する」か「競合に真っ向勝負を挑む」の2つの選択肢が上がる。

  • 競合を利用する場合は、便乗のような手段になる。(Facebookが競合であると判断した場合は、そこへ広告を載せるなど)
  • 競合に真っ向勝負を挑む場合は、以下のようになる
    • ユーザーのやる削いでいるものは何か?
    • ユーザーの興味を惹きつけていて、ターゲットアクションに気づくのを阻んでいるものは何か?
    • 環境にはすでに簡単でシンプルな他の行動が溢れていないか?